顔の毛穴をなくす方法はある?
気になる部位別の特徴と
おすすめの対策
毛穴が目立つと、メイクをした際にファンデーションが毛穴落ちして、年齢より老けて見えてしまうことから、「顔の毛穴を目立たなくしたい」と悩む方は多いものです。
毛穴悩みが多く見られる頬や鼻、おでこ、眉間は顔の中でも目立ちやすい部位です。毛穴が気になる部位ごとの原因や対策を知り、毛穴トラブルが起こりにくい美肌にしていきましょう。
美容皮膚科医タカミクリニック副院長の
山屋 雅美医師が監修しています。
顔の毛穴とは?
顔には、約20万〜30万個もの毛穴が存在します。顔の毛穴が目立つと、「毛穴がなくなればいいのに」と思うことがあるかもしれません。しかし、毛穴は私たちにとって必要不可欠なものです。なぜなら毛穴には、皮膚を保護し、体温を調節するなどの重要な機能が備わっているからです。
一口に顔の毛穴と言っても、部位によって起こりやすい毛穴トラブルや原因が異なります。皮脂の分泌が多い部位では、毛穴の開きや詰まりが起こりやすく、肌が乾燥しやすい部位やたるみやすい部位では、毛穴のたるみが目立ちやすい傾向が見られます。
ここでは、特に毛穴が目立ちやすい頬、鼻(鼻の横・小鼻)、おでこ、眉間など部位別に起こりやすい毛穴トラブルと、その原因と対策ケアについて解説していきます。
顔の毛穴をなくす方法はあるの?
顔はボディに比べて、皮脂分泌が多い脂腺性毛包(しせんせいもうほう)という種類の毛穴が多く集まっているため、どうしても毛穴が目立ちやすくなります。鏡に映った鼻や頰の毛穴の開きに、がく然として「何とかして毛穴をなくしたい」と思う方も多いと思います。
しかし、毛穴には皮脂の分泌や老廃物の排出、体温調整など重要な機能があるため、毛穴を完全に消したり、なくしたりすることはできません。例え「毛穴レス」と呼ばれる肌でも、実際には毛穴が存在しています。したがって、「毛穴を消す」「毛穴をなくす」ことを目標にするのではなく、「毛穴を目立たないようにする」「見た目の大きさを小さくする」ことが毛穴ケアの基本となります。
顔の毛穴をなくすことはできませんが、適切なスキンケア方法や生活習慣を改善することで、毛穴の目立ちを軽減し、毛穴がないようななめらかな肌に見せることは可能です。
顔の毛穴で気になる部位別の
特徴とおすすめの対策
毛穴の深さは、3㎜~5㎜ほどあります。見た目よりも意外と深さがあるのです。この毛穴を目立たなくするためには、毛穴が目立っている部位と原因に合わせた対策をおこなう必要があります。
多くの方が毛穴をなくしたいと思う、頬、鼻(鼻の横・小鼻)、おでこ、眉間など部位別の原因と対策ケアについてご紹介します。
頬(ほっぺ)の毛穴
特徴
頬は年齢に関係なく、多くの方にとって毛穴が気になる部位の一つです。
10代や20代の方でも頬の毛穴に悩む方もいますが、30代以降になると悩みが深刻化するケースがよく見られます。
頬には皮脂腺が発達した脂腺性毛包が多く、顔の中でも毛穴が目立ちやすくなっていますが、皮脂以外の原因によってさまざまな毛穴トラブルが起こりやすい場所でもあり、複数の毛穴悩みが同時に現れる特徴があります。
原因
頬の毛穴が目立つ主な原因が「毛穴の開き」ですが、年代によって毛穴が開く原因が異なります。
10代や20代では、主に過剰な皮脂分泌が原因になっています。女性も男性も、頬には脂腺性毛包が多く存在しているため、皮脂が多く分泌されることで毛穴が押し広げられて、毛穴の開きが発生します。また、ニキビ跡の凹みが毛穴の開きに見えることもあります。
30代以降では、肌の乾燥や老化が原因となります。肌が乾燥すると、ハリがなくなりキメが乱れ、毛穴の開きが目立つようになります。さらに、紫外線ダメージによる肌の弾力低下やたるみも毛穴を開かせるため、年齢を重ねるにつれ、頬の毛穴に悩む方が増えます。
頬は開き毛穴以外にも、たるみ毛穴、詰まり毛穴、角栓が酸化した黒ずみ毛穴、メラニンによる黒ずみ毛穴など、さまざまな毛穴トラブルが発生しやすい場所です。さらに、頬の内側では産毛による黒ずみ毛穴も見られます。
可能性が高い方
- 肌が乾燥してつっぱりやすい
- 皮脂が多くて肌がベタつきやすい
- 化粧水だけで保湿ケアを済ませている
- ファンデーションが毛穴落ちする
対策
乾燥が原因となり皮脂の分泌が増加している場合があります。肌が乾燥している方はもちろん、皮脂でお悩みの方もしっかりと保湿をおこないましょう。
まずは、適量の化粧水を手に取り、手のひらを肌に優しく押し当てて10秒ほどハンドプレスをして、肌にしっかりと化粧水を馴染ませます。1回だけでは塗りムラができてしまうので、最低2回は重ねづけをしましょう。乾燥が気になる方はヒアルロン酸やセラミドなどの保湿効果の高い成分、皮脂でお悩みの方は皮脂分泌を抑制する効果のあるビタミンC誘導体が配合されている化粧水がおすすめです。
化粧水をつけた後は、必ず乳液などの保護アイテムで蓋をしましょう。化粧水だけでスキンケアを終わらせると、水分がすぐに蒸発して乾燥してしまうので肌質問わず実践してください。ただし、油分の多いクリームの使用は、毛穴を詰まらせることもあるため控えましょう。
鼻(鼻の横・小鼻)の毛穴
特徴
鼻を含むTゾーンには、皮脂が盛んに分泌される脂腺性毛包が多く存在します。そのため、小鼻や鼻の横なども含めて、鼻は毛穴トラブルが発生しやすい場所です。顔の中心にある鼻は目が行きやすいため、他の部位よりも毛穴の目立ちが気になります。
原因
鼻の毛穴が目立つ大きな原因は「毛穴の詰まり」と「毛穴の黒ずみ」です。鼻の白いザラザラや、黒いポツポツが目立ついちご毛穴に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
鼻は皮脂が多く分泌されやすい部位であり、過剰に分泌された皮脂と古い角質が混ざり合い、角栓が形成されて毛穴が詰まりザラザラやポツポツが生じます。
鼻の毛穴といえば、白いニョロニョロとしたものが出てくるのに悩んでいる方もいるかもしれませんが、白いニョロニョロの正体は、ほとんどが皮脂や角栓です。
角栓の初期段階では白色の「白角栓」ですが、毛穴に留まり時間が経つと、酸化されて黒ずんだ「黒角栓」へと変化し、より毛穴が目立つようになります。
また、鼻の横や小鼻には黒角栓以外にも、産毛の影響や毛穴の入り口(毛穴ろうと部)にメラニン色素が沈着した黒ずみ毛穴が多く見られます。
対策
鼻の毛穴は、主に角栓による詰まり、黒角栓による黒ずみによって目立っています。どちらも角栓が原因のため、鼻の毛穴対策には角栓ケアを取り入れることが重要です。
おすすめの対策
- スキンケアの見直し
- 角質ケアを取り入れる
- 食生活の見直し
- 紫外線対策
角栓が詰まりやすい方は、まずはスキンケアの見直しをしましょう。洗顔料は泡立ちが良く、不要な汚れをしっかりと取り除く洗浄力がありながらも、高保湿で低刺激(抗炎症成分配合)処方のものがおすすめです。
ピーリングや角質ケアで、古い角質が溜まらないようすることも、鼻の毛穴対策に効果的です。角質肥厚による毛穴詰まりも予防できるので、ぜひ取り入れてください。肌に摩擦を与えずに使える塗るタイプや、塗って洗い流すタイプがおすすめです。
規則正しい食生活を心掛けることも大切です。皮脂量を増やすファーストフードや揚げ物、甘い物やアルコールなどは控えるようにしましょう。
鼻は黒角栓以外にも、メラニンによる毛穴の黒ずみが発生しやすい部位です。メラニン色素が過剰につくられると黒ずみが目立つため、紫外線対策も欠かさずおこないましょう。ブライトニング成分であるビタミンC、トラネキサム酸などの成分が配合されたスキンケアアイテムを使うのも有効です。
おでこの毛穴
特徴
おでこにも脂腺性毛包が多く存在するため、毛穴が目立ちやすいことで知られています。また、ストレスや食生活の乱れ、前髪による肌刺激やヘアスタイリング剤の油分、洗顔や洗髪時のすすぎ残しも毛穴を目立たせる原因になっています。
原因
おでこの毛穴が目立つ主な原因は「毛穴の開き」と「毛穴の詰まり」です。
招く主な原因
- 肌の乾燥
- ストレス
- 食生活の乱れ
- 髪の毛の刺激
- ヘアスタイリング剤の油分
おでこの毛穴が目立つ大きな原因となるのが、「皮脂の詰まり」です。肌の乾燥やストレス、食生活の乱れなどが毛穴を詰まらせる原因となります。乾燥が皮脂詰まりの原因となるのは、肌は乾燥することで皮脂の分泌量が増えるためです。
ストレスはホルモンバランスを崩し、皮脂の分泌量を増やすため、溜め込まないようにしましょう。アルコールを過剰に摂ったり、脂質や糖質の摂りすぎも皮脂の分泌量を増やす原因となります。
前髪があるヘアスタイルの方は、髪の毛の毛先がおでこへの刺激となったり、かゆくて掻いてしまうことでバリア機能の低下を招き、皮脂の過剰分泌につながっていることがあります。
また、前髪のスタイリングに使用するヘアクリームやバーム、オイルなどの油分が肌に付着して、毛穴詰まりを招くこともあるので、前髪のセット方法にも注意が必要です。
対策
おでこの毛穴対策をするためには、正しいスキンケアをおこなうことが重要です。まず、クレンジングをしてメイクをしっかり落とし、角栓を予防しましょう。
ただし、どのクレンジングを使っても良いわけではありません。クレンジングにはオイルやバームなどいろいろな種類がありますが、皮脂が気になる方にはジェルタイプのものがおすすめです。
オイルやバームはメイクを落とす力には優れていますが、皮脂を必要以上に取り除いてしまいます。一方で、油分が多いクリームタイプは毛穴詰まりの原因になることがあるので避けましょう。拭き取りタイプのクレンジングは肌に摩擦を与えるのでこちらも避けてください。
洗顔前には、蒸しタオルなどで顔を温めると毛穴が開いて、汚れや余分な皮脂を取り除きやすくなります。洗顔をするときは洗顔料をよく泡立て、肌に刺激を与えないように優しく洗いましょう。クレンジング剤や洗顔料を流すときは、ぬるま湯で洗います。お湯の温度が高すぎると、必要な皮脂まで取り除いて肌の乾燥を招く恐れがあるため注意しましょう。
前髪がおでこにあたるヘアスタイルの方は、スタイリング剤のつけすぎに注意することも、おでこの毛穴ケア対策になります。
眉間の毛穴
特徴
眉間は皮脂が多く分泌される脂腺性毛包が存在するTゾーンの一部で、毛穴の開きや毛穴詰まりが起きやすく、ザラザラとした手触りになりやすい特徴があります。メイクや皮脂汚れが肌に残ったままになると、細菌の繁殖を促してニキビや吹き出物ができる原因となることもあります。また、眉毛などの濃い毛や産毛が生えているため、毛穴が目立ちやすくなります。
原因
招く主な原因
- 過剰な皮脂分泌
- ターンオーバーの乱れ
- 食生活の乱れ
- メイクや汚れの蓄積
- 眉毛や産毛の自己処理
皮脂の分泌が比較的多い部位なので、皮脂が分泌され続けることが原因で毛穴が開いた状態になってしまいます。
また、ターンオーバーが乱れ、古い角質が溜まるのも原因です。角質と皮脂が混ざって角栓となり、毛穴を塞いでしまうこともあります。
落としきれなかったメイクや汚れが蓄積して毛穴に詰まることもあるため、注意が必要です。また、眉間は眉毛などの太い毛や産毛の自己処理によって毛の断面が目立ち、それが黒ずみ毛穴のように見えてしまうこともあります。
対策
眉間の毛穴を目立たせないためには、まず毛穴に皮脂が詰まらないようにすることが大切です。肌のターンオーバーが乱れたり、紫外線や摩擦の影響を受けたりすると、角質が分厚くなって毛穴に皮脂が詰まりやすくなります。また、間違ったクレンジング方法やクリームのように油分が多いスキンケアアイテムの使用も、毛穴を詰まりやすくする原因です。
皮脂の分泌量が多い方は、油分が多いスキンケアアイテムの使用は避けましょう。とはいえ、化粧水だけでスキンケアを終えると、肌が乾燥しやすくなり、余計に皮脂が分泌されて毛穴が詰まりやすくなる可能性があります。適切な保湿ケアを心掛けてください。
毛穴の悩みは顔以外にも
毛穴の悩みは、顔だけに現れるものではありません。背中や胸などの部位でも毛穴の開きや詰まりが見られることがあります。
- ・背中の毛穴
- 毛穴が詰まることでニキビやざらつきが生じることがあります。汗や皮脂の量が多い方は詰まりやすいので注意が必要です。
- ・足の毛穴
- 足の毛穴が目立つ原因は、繰り返しおこなうムダ毛の自己処理にあります。自己処理を繰り返すことで色素沈着が起きたり埋没毛になったりして毛穴が目立つようになるのです。
- ・腕の毛穴
- 二の腕は、摩擦の影響で毛穴の詰まりや炎症が発生しやすい部位です。ぶつぶつとした見た目になりやすいことが特徴です。
- ・脇の毛穴
- 脇の毛穴が目立つのは、埋没毛や過剰なムダ毛の自己処理などが原因です。誤った自己処理を繰り返していると、炎症や色素沈着を起こすこともあります。
- ・胸の毛穴
- 胸は皮脂の分泌量が多く、毛穴が詰まりやすい部位です。アクネ菌が繁殖してニキビができることもあります。
顔の毛穴を確実に早く治すなら
美容皮膚科へ
顔の毛穴目立ちを早く治したいのなら、美容皮膚科を受診しましょう。
顔の毛穴が目立つのは、誤ったスキンケアや乾燥、加齢、産毛などが原因であることがほとんどです。しっかり保湿をして乾燥を防いだり、エイジングケアをおこなったりすることで改善されることがありますが、ホームケアのみで簡単に毛穴目立ちを改善することは難しいでしょう。
美容皮膚科では、毛穴の症状を医師がしっかりと見極め、角栓除去やピーリング治療、レーザー治療など一人ひとりに合った治療法を医療ならではの視点で提案してくれます。
適切な対処をしなければ、毛穴はかえって目立ってしまう恐れがあります。自己流でのケアが毛穴の開きを悪化させることもあるため、毛穴や皮膚の状態を見ながらアプローチをしていくことが大切です。