医師が教える
毛穴の汚れを落とす
正しい洗顔方法
毛穴トラブルのないキレイな肌でいるための基本は「その日の汚れはその日のうちに」。いくら生活習慣を整えても、清潔な肌を維持できなければ毛穴の悩みは解決できません。
まずは、毛穴の汚れをしっかり落とすための正しい洗顔方法を知っておきましょう。美容皮膚科タカミクリニックの医師が、洗顔方法や洗顔料の選び方を伝授します。
美容皮膚科医タカミクリニック副院長の
山屋 雅美医師が監修しています。
毛穴の汚れを洗顔で
しっかり落としたい!
毛穴汚れをしっかり落としたいという方は、自分の肌に合った洗顔料を使い、正しい洗顔方法で顔を洗うことが大切です。
「肌を触ると毛穴がザラザラする」「ファンデーションがきれいにフィットしない」といった悩みを抱えている方は、間違った洗顔により毛穴トラブルを引き起こしていることも多いため、NGケアをしていないか確認し、正しく洗顔をおこないましょう。
毛穴をキレイにする洗顔方法
毛穴の汚れを効果的に落とすには、メイクなど油性の汚れを落とすためのクレンジングと、皮脂やホコリなどの汚れを落とすための洗顔、それぞれをおこなう必要があります。
必要以上に肌の皮脂を落としたり、肌に摩擦などの負担を与えずに、しっかりと毛穴の汚れを落とすためのアイテム選びや、クレンジング方法、洗顔方法をお伝えいたします。
クレンジング
クレンジング剤にはさまざまな種類があり、オイルタイプやバームタイプ、ジェルタイプ、クリームタイプ、拭き取りタイプが販売されていますが、「ジェルタイプ」のクレンジング剤がおすすめです。
肌の皮脂を落とし過ぎず、肌への摩擦も少なく済むので、肌のバリア機能を損なうことなく、効果的にメイクなどの油汚れを落とすことができます。
肌への刺激を最小限に抑えるために、クレンジング剤を肌にのせて優しくなじませ(1分以内)、ぬるま湯で洗い流しましょう。手際よく洗うことで摩擦を軽減し、肌のうるおいを守ります。
洗顔
毛穴の汚れを落とし毛穴を目立たなくするには、正しい洗顔方法が重要です。
洗顔料はしっかりと泡立てることで、きめ細かい泡が毛穴に入り込んでいる汚れや、余分な皮脂を洗い落とすことができます。
ただし、洗顔時にゴシゴシと擦ると、刺激から肌を守る力が働き角質が厚くなる「角質肥厚」を引き起こします。角質肥厚になると、肌のキメが乱れ、毛穴が目立ち、ごわごわとした肌状態になってしまうため、摩擦を避けつつ泡で優しく洗顔するように気をつけましょう。
洗顔の手順
- はじめに35℃〜38℃(体温と同じくらいか少し高めの温度)のぬるま湯で予洗いをします。この予洗いで汚れの約7割が落ちると言われています。
- 洗顔料をしっかりと泡立て、弾力のある泡をつくります。泡立てネットを使用すると弾力がある泡がつくりやすくなります。目安としては、ピンポン玉以上の大きさの泡をつくりましょう。
- たっぷりの泡で顔を包み込むように、顔全体を優しく洗いましょう。常に肌と手のひらの間には泡のクッションがある状態に。洗う時間は20秒〜30秒が目安です。
- ぬるま湯で洗顔料が残らないようにしっかりとすすぎます。特に生え際やフェイスライン、小鼻は泡が残りやすいため、鏡を見ながら泡残りが無いかチェックしましょう。また、40℃以上のお湯は乾燥の原因になるため、熱いお湯は厳禁です。
- 清潔なタオルで優しく水気を吸い取ります。拭き取るのではなく、軽く押さえるように優しくおこないましょう。
- 洗顔料は30秒以上肌にのせない
- 洗顔ブラシで長時間洗わない
- 肌を擦ってゴシゴシ洗わない
- スクラブや刺激の強い洗顔料を使わない
毛穴トラブルを
悪化させる洗顔方法
普段おこなっている洗顔で、知らず知らずのうちに毛穴トラブルを悪化させるケースがあります。間違った洗顔方法は、毛穴のトラブルを悪化させる可能性があるため、洗顔時には避けるように気をつけましょう。
熱いお湯で洗顔する
熱いお湯での洗顔は、必要な皮脂まで流れてしまいます。その結果、肌の乾燥が促進し、毛穴トラブルを悪化させる可能性があります。肌と同じくらいの温度のぬるま湯で洗い流してください。
お風呂で洗顔をする方は、シャワーの温度が40℃以上になることが多く注意が必要です。また、シャワーを直接肌にあてて流すのも、肌や毛穴への強い刺激になるため避けましょう。
冷たい水で洗顔する
「冷たい水は毛穴の引き締めに効果がありそう」と考える方もいるかもしれません。冷たい水は毛穴を一時的に引き締める場合もありますが、毛穴汚れを十分に落とすことはできません。
特に、皮脂汚れや毛穴の汚れを効果的に落とすには、35℃〜38℃の体温と同等か少し高いくらいの温度を目安にするのがおすすめです。
冷たい水で洗っている方は、ぬるま湯で洗うようにすると毛穴の汚れが落ちやすくなるため、ぜひ実践してみてください。
1日に3回以上洗顔をする
毛穴の汚れを落としたいからといって1日3回以上洗顔をすると、肌が乾燥してしまいます。1日におこなう洗顔の回数は、朝晩の2回に留めておきましょう。
過度な洗顔により乾燥状態になると、自ら皮脂を分泌する力が高まり、毛穴が目立ちやすくなります。また、角質層が剥がれやすくなるため、肌のバリア機能が低下しあらゆる外的刺激を受けやすい肌になります。
大人になってからの毛穴の開きや毛穴の詰まりは「洗いすぎ」も要因の一つ。バリア機能の低下は、敏感肌や乾燥肌を引き起こしやすくなります。洗顔の頻度は多くないのに肌が敏感になる方は、使用しているクレンジング剤や洗顔料の洗浄力が強すぎる可能性があるため、肌に合っているか見直しをしてみましょう。
洗顔後、洗い残しがある
洗顔後に洗い残しがあると、毛穴詰まりや肌荒れの原因になります。
生え際やフェイスラインも泡が残りやすい場所ですが、特に気をつけたいのが小鼻周辺です。小鼻に洗顔料が溜まると肌荒れだけでなく、毛穴が炎症を起こすこともあります。
小鼻周辺に赤みや炎症を起こしやすい方は、汚れそのものだけではなく、洗顔料やクレンジング剤が落とせていない可能性も考えられます。
洗い流すときには、小鼻や生え際、フェイスラインに流し残しがないか確認しましょう。
使用済みのタオルを使っている
家族が使ったあとのタオルなど、使用済みのタオルで顔を拭くと、洗顔後の肌に雑菌が繁殖する恐れがあります。顔を洗うときは、毎回清潔なタオルを使い、ゴシゴシ擦らないようにしましょう。
タオルは洗濯をくり返すと、繊維が硬くなりごわごわしてくるため、使い捨ての「クレンジングタオル」や「洗顔タオル」などを使うと、吸水性が高く繊維やホコリが付着しないためおすすめです。
洗顔料を泡立てずに洗う
一般的な洗顔料は、泡が汚れを吸着するように計算してつくられているため、泡立てずに使っても汚れは十分に落ちません。さらに、洗顔料を泡立てない状態で肌につけると、洗浄成分が肌に密着し、脱脂力が高くなり、肌への刺激や乾燥を引き起こしてしまう可能性があります。
洗顔料は泡立てネットを使用すると、手早く弾力のある泡がつくれるため、ぜひ活用してください。しっかりと泡立てた洗顔料は、クッションの役割を果たし肌の負担にならず、汚れをオフしやすくなります。
泡立ての目安はホイップクリームをイメージし、角が立つくらいのしっかりとした泡が理想です。
おすすめの洗顔料
開き毛穴、詰まり毛穴、黒ずみ毛穴など、どの毛穴タイプでも、不要な汚れをしっかりと取り除く洗浄力があり、泡立ちが良くて、高い保湿力と低刺激で抗炎症を備えた洗顔料の使用をおすすめします。
- 洗浄力があるもの
- 泡立ちの良いもの
- 保湿力があり低刺激のもの
きめ細かい弾力泡がつくれる洗顔料は、さまざまな大きさの毛穴に入り込むことができ、毛穴に潜む余分な皮脂や汚れを吸着してくれます。泡立てネットを使ってしっかりと泡立てることで、細かな泡で毛穴の奥の汚れを優しく取り除くことができます。
洗顔後には、肌にうるおいを与える成分が含まれたものを選ぶことで、清潔な肌を保ちながら乾燥を防ぐことができます。
洗顔料に配合される
おすすめの成分
保湿・抗炎症成分
余分な皮脂を取り除きながらも、肌に必要なうるおいを残すことが重要です。
肌に必要なうるおいを保つ成分として、セラミド、アミノ酸、ヒアルロン酸等を配合した洗顔料をおすすめします。また、肌荒れ予防として、消炎作用のあるアラントインやグリチルリチン酸ジカリウムを配合したものを使用すると、肌をいたわりながらの洗顔ができます。
- ・保湿成分
- セラミド、ヒアルロン酸、アミノ酸など
- ・抗炎症作用
- アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム
洗浄力のある成分
アミノ酸系の洗顔料は、肌に優しいことが知られていますが、洗浄力は弱くマイルドです。毛穴トラブルが気になる方には、毛穴に潜む余分な皮脂や汚れをきちんと洗い落とすことができる石鹸系の洗浄成分を使った洗顔料がおすすめです。その中でも、セラミドなど保湿成分を配合し肌のうるおいを保つことができるタイプを選ぶと良いでしょう。
また、汚れを吸着すると言われている炭の成分や、タンパク質や脂質を分解する酵素成分を配合した洗顔料は、毛穴の奥深くの汚れや余分な皮脂を効果的に取り除くことが期待できます。
ただし、洗浄力が強すぎて肌に刺激になったり、肌に必要な油分や角質を取りすぎてしまうリスクがあるため、週に1回程度のスペシャルケアに留めようにしましょう。
洗顔後はすぐに保湿を
洗顔直後から肌の水分蒸発がはじまってしまうため、洗顔後すぐに保湿をおこない、肌の水分を閉じ込めましょう。
毛穴を引き締めたい方には、アルコールを多く含む収れん化粧水が人気のようですが、アルコールによる毛穴引き締め効果は一時的であるため、根本的な毛穴ケアとしては保湿力が高くてビタミンCなど皮脂分泌をコントロールしてくれる成分が配合されたものを選ぶことをおすすめします。
毛穴ケアでは洗顔が
大切なポイント
毛穴ケアにおいて、自分に合った洗顔アイテムを選び、正しい洗顔方法を実践することは非常に重要です。「毛穴トラブルを悪化させる洗顔方法」を避け、正しい洗顔法を取り入れることで、美しい毛穴を目指しましょう。
毛穴汚れをオフしたあとは、肌を引き締めるうるおいケアを徹底することも、忘れずにおこないましょう。
美容皮膚科では、毛穴汚れを除去する治療だけでなく、スキンケア指導や毛穴に効果的な洗顔料、スキンケアアイテムの処方もおこなっています。さらに、市販では入手できない院内処方薬も、ご要望に応じて処方が可能です。洗顔方法に関する不安や疑問がある方は、あわせて相談してみましょう。